前回、お話をしましたトヨタ生産方式のメリットについての続編です。
メリットについては在庫をあまり持たなくて良いや、問題点を把握し易くなるなど解説してきましたが、今回はデメリットについてお話したいと思います。
では、本題に入って行きます。
多くの企業がトヨタ生産方式の良さを理解し運用を行っていますが、そこには隠されたデメリットが多く存在します。良い薬には必ずといっていいほど副作用があるのと同じと考えてもらったら良いかと思います。
Contents
1、向き不向きが存在する
一見、どんな製造業においても適用出来そうなトヨタ生産方式ですが、これには向き不向きが存在しています。車や住宅メーカー、電化製品メーカー等には有効な手段ですが、季節性がかなり強い製品には向いていません。
いわゆる冬仕様等が存在するようなものは四季毎に在庫の管理方法を見直さなければなりません。常時在庫しているのはムダで、トヨタ生産方式のように材料を使ったら発注が出るという方式では在庫数を落すことが出来ません。1シーズンの間生産しなくてもよいにも関わらず、在庫として持っておかなければなりません。
2、在庫が道路上に存在する
続いての問題点は在庫があまりないように管理するというやり方を取っているトヨタ生産方式は在庫をトラックの中に持っているということになります。
朝方、トラックがコンビニやサービスエリアにいっぱい溜まっている光景を目にしたことがある人は多いのでしょうか?ただ単に休んでいるドライバーの方もいますが、生産工場が荷受けしてくれないから引き受け時間になるまで待っているケースが散見されます。
つまり、ジャストインタイムとも呼ばれるように生産する際にすぐ納入があるように仕組まれている訳です。納入時間は決まっており、その時間にならなければ納入してはならないのです。
あまりぎりぎりで走ってしまうと生産に間に合わず、納入先企業に取引を停止させられてしまうかもしれません。ですので、ドライバーの方は間に合うように早め早めで行動し、最寄りのコンビニ等で時間待ちをするしかないのです。
私は一種の社会問題を引き起こしている原因の一つだと考えています。
3、材料欠品の可能性が高まる
在庫数量を極限まで減少させることが出来るのが「トヨタ生産方式」のメリットです。一方で在庫減らしすぎるとその弊害も存在します。
材料が初期不良だった場合、作業者が間違って壊してしまった場合、等多くのトラブルは想定されます。多少の安全在庫は確保しているとしても予想数量より不良が発生した場合、生産ラインを止めてしまうという最悪のケースも想定されます。
4、作業者にとって非常に息苦しい環境
作業者にとって非常に息苦しい環境であるということも一つのデメリットであると言えます。使用するテープの長さや塗料の散布量などが厳しく決まっております。微妙な使用数量の違いが大きく在庫数量を変化させ、品質の不良にも繫がります。
そこを厳しく管理されているため、作業をしている本人にとっては非常に息苦しい環境であると言えるでしょう。
しかし、この点はエンドユーザーのことを考えれば、品質面において非常に有効なやり方であると言えますので、一概にデメリットとまでは言えないかもしれませんね。
5、コストダウンをするのが難しい
これはあくまでもトヨタのことを言っているのではなく、トヨタ生産方式を採用している企業に言えることです。かんばん発注というやり方を取っているため、必要な時に必要な時だけ購入するというやり方のため、大量に購入することで価格を下げることが出来るメリットを出すことが少し難しいということです。
基本的には3〜6ヶ月毎に単価契約を結んで、その単価の元発注がなされる企業が多いですが、大企業でない場合、おおよその生産量が予測しずらい環境にあり、大量購入によるコストメリットを出しにくいというデメリットが存在します。
まとめ
このようにトヨタ生産方式はあくまでもトヨタのために作られて考えられた方式であると言えます。すべての製造業を行う企業に適用し、メリットが出せる方法ではないということを忘れないで下さい。
実際の運用方法によっては非常に有効な改善手段となるので、本質をしっかりと学んだ後に自社の生産性向上に役立てて欲しいと思います。
実際私もトヨタ生産方式を採用している企業で働いていますが、その特徴を理解し、上手に利用するように日々心がけています。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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