伊藤忠の独身寮が話題に!復活の場所は?

伊藤忠の独身寮

会社の社員寮について、どのようなイメージをもっているだろうか。「家賃が安い」「同期と仲良くなれる」といったメリットがある一方で、「嫌な先輩が近くにいる」「古い、汚い」といったデメリットを想像する人も多いのでは。

高度経済成長期、多くの大企業が寮を所有していたが、バブル崩壊によってその様子は大きく変わる。「企業の経費節減」「福利厚生の見直し」などで、全国で統廃合が進んだのだ。寮の跡地にマンションやコンビニなどが誕生して、街の風景がどんどん変わっていった。

このような話をすると、40代以上の人は「懐かしいなあ」と感じられるかもしれないが、この4月に日本最大級の独身寮ができたことをご存じだろうか。総合商社の伊藤忠商事(以下、伊藤忠)は18年ぶりに、横浜市の日吉駅近くに寮を復活させたのだ。約4600平方メートルの敷地に建てられた7階建ての建物には、361室が設けられている。

伊藤忠は2000年まで寮を所有していたが、財務状況が悪化したこともあって資産を売却。その後は、東京都内や横浜市でマンションを借り上げ、そこを寮として使っていたのに、なぜこのタイミングで新しい寮をつくったのか。しかも入社1~4年目の社員は原則入寮しなければいけないので、入寮率はほぼ100%である。

「社会人になったんだから、住むところくらい自由に決めさせてよ」といった声が飛んできそうだが、同社の狙いはどこにあるのか。独身寮の建設プロジェクトに携わった同社の田村拓也さん(人事・総務部)に話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

●以前の寮、通勤時間は1時間30分

土肥: 伊藤忠が18年ぶりに、社有の独身寮を復活させました。横浜市の日吉駅から徒歩3分くらいのところにあって、広さはオリンピックの競泳用プール(25×50メートル)4面ほど。7階建ての建物に250人ほどが入居していて、来年には全361室が埋まる予定だとか。黒と白を基調にしたデザイナーズマンションのような外観なので、パッと見ただけでは「男子寮」とは思えないですよね。

伊藤忠は2000年まで独身寮を所有していましたが、財務状況が悪化したので、物件を売却していますよね。その後、マンションを借り上げてそこを寮として使ってきたわけですが、なぜこのタイミングで社有の寮を建てることになったのでしょうか?

田村: 当時の寮は横浜市の山手にありました。とても閑静な住宅地にあって、周辺環境もよかったんですよね。部屋は300弱ほどあって、大規模な寮でした。大浴場やランドリールームなどがあって、施設も充実していました。部屋にシャワーやトイレがなかったので、「ちょっと不便かな」と感じていた人もいたかもしれませんが、不満の声はほとんど聞いたことがありませんでした。

ただ、会社の業績がよくない状況が続いていたので、資産を売却することに。その後、東京世田谷区の成城学園前、横浜市の仲町台、川崎市の鷺沼(2棟)に計4棟のマンションを借り上げて、そこを寮として使っていました。ただ、いくつか問題がありまして……。

土肥: 問題? どんなことがあったのでしょうか?

田村: 4棟あったので、社員はバラバラに住んでいたんですよね。Aくんは成城学園前、Bくんは仲町台、Cくんは鷺沼といった感じで。当社の東京本社は港区の青山にありまして、最寄り駅は「外苑前」か「青山一丁目」になる。そうすると、通勤時間に「差」がありまして。成城学園前であれば40~50分で会社に到着するのですが、仲町台であれば1時間30分ほどかかっていました。

土肥: 鷺沼は大丈夫なのでは? 「鷺沼―外苑前」で調べたところ、30分ほどですよ。

田村: 先ほどお伝えしたとおり、鷺沼には2棟ありました。1棟は駅近にあったのですが、もう1棟は駅から徒歩15分ほどのところにありまして。寮から駅までのルートはアップダウンがきついので、不満を感じている人が多かったのかもしれません。同期と一緒に帰っていても、Dくんは駅近の物件に住んでいたので「お疲れ~」と言って、建物のなかに入っていく。彼の後姿を見届けたEくんは、その後坂を上ったり下ったりしなければいけませんでした。

土肥: 「同じ会社で働いているのに、不公平じゃないか」と厳しい声があったのでは?

田村: はい。で、どういったことが起きたのか。

●「引っ越しさせてください」の声

田村: 会社から遠いところ、駅から遠いところに住んでいる人たちは、早々に寮を去っていたんですよね。出入りが激しかったからか分かりませんが、成城学園前と鷺沼の駅近に住んでいた人たちはよく飲み会などのイベントを行っていましたが、仲町台と鷺沼の駅遠に住んでいた人たちはあまりでして。

土肥: 関係が希薄になっていたわけですね。仲町台と鷺沼の駅遠に住んでいた人たちから「引っ越しさせてくださいよ」といった声が多かったのでは?

田村: 会社のルールに沿って部屋を決めているので、彼らの引っ越しを認めるわけにはいきません。「自分の意見を聞いてもらえないのか。じゃあ、寮を出よう」と考えた人が多かったのかもしれません。寮に入って1年も経たないうちに退寮して、ひとり暮らしをする人がたくさんいました。こうした背景もあって、新しくつくった寮は駅から徒歩3分ほど、会社まで30分ほどで着くところに構えました。

以前は4カ所に分散して寮を設けていたわけですが、「このままでいいのか」といった課題を感じていました。年代や部署が違っても「ひとつ屋根の下」で暮らせば、コミュニケーションを深めることができるのではないか。当社には「繊維カンパニー」「機械カンパニー」などがあって、グループが違えばその人たちと会話をする機会がほとんどないんですよね。

寮で「タテ・ヨコ・ナナメ」のコミュニケーションができれば、横のつながりが生まれる。そこから仲間意識が生まれて、将来何らかの役に立つのではないか。結果、組織力が強くなると考え、入社1~4年目の独身男性には原則全員入寮してもらうことにしました。

土肥: 以前の寮も全員が入っていたのですか?

田村: いえ、いくつかのルールがありました。例えば、会社から実家の距離に応じて、寮に入れる、入れないといった感じで。

土肥: 新しい寮にはほぼ全員が入っているということですが、そのルールを決めるときに反対の声はなかったですか? 「ちょっと、いまの時代に合わないんじゃないの?」といった具合に。

田村: 「最近のライフスタイルを考えると、プライベート重視のほうがいいのでは」「強制するのはよくないのでは」といった意見がありました。ただ、実際は強制していなくて、“できる限り入ってください”といった表現で伝えています。

●食堂を利用する人が増えた

土肥: 「タテ・ヨコ・ナナメ」のコミュニケーションが生まれるために、何か工夫をしているのでしょうか?

田村: 先輩と後輩はどうすれば接する時間を増やすことができるのか。部門の違った人でもどうすれば会話をすることができるのか。そんなきっかけをつくるために施設の中に、さまざまな工夫を施しました。

例えば、食堂。アンケートを行ったところ、以前の寮では「食堂の料理がおいしくない」といった答えが多かったので、新しい寮では見直すことに。おいしい料理を食べながらであれば、気軽に語り合えるかもしれない。複数の人に味見をしてもらって、業者を選びました。移転後、アンケートを行ったところ「食事がおいしくなった」といった声が増えました。

以前の寮で食堂を利用する際、前日までに申し込む必要がありました。当日、何らかの事情で食べられなくなっても、料金を支払う必要があったんですよね。料理があまりおいしくない、食べることができなくても料金を支払わなければいけない、こうした不満があって、食堂を利用している人は7%ほどしかいませんでした。

健康経営の観点からも「このままではいけない。利用者を増やそう」ということで、前日申し込み制を廃止しました。当日、食事をしたいなあと思ったら、ふらっと食堂に寄ってそこで食べることができる。電子マネーで支払うことができ、食堂内にチャージ機も備えました。料理をおいしくしただけでなく、使い勝手もよくしたことで、現在の利用率は30%ほどに上昇しました。ちなみに料金は、朝食が200円、夕食が400円です(いずれも税込)。

土肥: ふむふむ。

田村: 新しい寮を建設するにあたってアンケートを行ったところ、「自分たちで料理ができるスペースをつくってほしい」という声もありました。この意見を受けて、食堂の一角にシェアキッチンを完備しました。先日、何人かがシェアキッチンを使っていたので、何をしているのかなあと思って聞いたところ「週末にバーベーキューを行うので、食材を用意している」と言っていました。

土肥: 昔の男性独身寮では考えられないスペースですね。若い人たちが集まって料理をするなんて(時代は変わった)。

●女性を部屋に入れたら

田村: 食堂以外にも、交流できるスペースをいくつかつくりました。食堂の隣に、サウナ付きの大浴場がありますので、ここでも会話が生まれればと思っています。

土肥: 同じ釜の飯を食って、裸の付き合いができるわけですね。

田村: 各フロアーに交流スペースも設けました。最もよく使われているのは、1階にある談話コーナー。食事後や風呂上がりに、ここでくつろぎながら会話をしている姿をよく目にします。このほかにも、3階にはバーコーナー、4階にはディスカッションラウンジなどがあって、自分の部屋を出ると誰かがいてそこで会話ができる環境をつくりました。

ただ、ハード面だけを充実させて「はい、終わり。あとはみなさんで勝手にどうぞ」というわけにはいきません。当社のOB2人が交代で寮長を務めていて、若手社員からの相談にのったり、指導をしたりしています。

土肥: 部屋はどうなっているのでしょうか?

田村: 広さは18平方メートルなので、ワンルームマンションくらいですね。部屋には机とベッドが設置されているほか、ミニキッチン(冷蔵庫付き)、トイレ、シャワーが付いているので、「週末は部屋でひとりでいたい」という人でも問題はないかと。ちなみに寮費は、月に1万5000円です。

土肥: 寮ができて、3カ月が経ったわけですが、何かトラブルは起きていませんか?

田村: 小さなことはちょこちょこと。例えば、自分の荷物が届いるのに部屋に持って帰らなかったり、ランドリーコーナーで自分の洗濯物を置き忘れたり。ただ、いまのところ近隣で住んでいる方々にご迷惑をかけるようなことはしていません。今後は、街の清掃活動に参加したり、祭りに参加したりするなどして、地元との交流を深めることができればなあと思っています。

土肥: 最後の質問です。ここは男性の独身寮ですよね。もし女性を部屋に連れ込んだらどうなるのでしょうか?

田村: 退寮です(きっぱり)。

出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180704-00000026-zdn_mkt-bus_all

 

 

 

名無しさん
3時間前
このクラスの会社だと独身寮は至れり尽くせり
単純に金も貯まるし良いことだ
名無しさん
3時間前
300世帯以上あって女性連れ込む猛者いるのかな(笑)
名無しさん
4時間前
住宅手当の削減
名無しさん
3時間前
自分も会社所有の独身寮に住んでいるけど、普通のマンションという感じで共用スペースはほとんどない。
男女同じ建物だし、親とか友達を呼んでも問題ないし、1つのマンションにたまたま同じ会社の人が住んでいるだけという雰囲気。
それくらいの距離感の方が気を遣わなくていいと思うけどね。
あと東京都心まで1時間以内で、家賃が1万5千円という破格なので抜け出す気になれない。
名無しさん
2時間前
独身寮ってどうして男だけ?
女子寮もあるべきじゃないですか?
名無しさん
2時間前
寮があって安く住めるだけマシ。
名無しさん
1時間前
現在の伊藤忠は、がっぽり儲かってるからできることなのかも。
名無しさん
1時間前
なぜ男子のみ?
名無しさん
1時間前
相互監視で逃がさねぇよってやつやね。
名無しさん
1時間前
会社から30分なら住みたいかも。
前いた会社の寮は通勤時間が1時間45分もかかった。
即退寮したけど。
名無しさん
1時間前
いいですね。連れ込み?
なくならないでしょう。
商社マンが、連れ込まない訳がない。
(笑)
名無しさん
1時間前
連れ込まないわけないじゃん笑
窓から出したり、裏の非常口から入れたり、、、
それも懐かしい思い出。
名無しさん
2時間前
確かに独身寮はいいところあると思います。ご飯は出てくるし、家賃は安いなど。
でも、確実にワークとライフのバランスは崩れます。自分では気づかないうちにライフの中にワークが入り込んできます。
自分はプライベート(趣味)と仕事は絶対に分けたいと考えているので寮生活は嫌ですね。
名無しさん
1時間前
家賃月額15、000円で朝飯200円、晩飯400円。
駅から3分で通勤30分圏内か。
超羨ましい。
名無しさん
1時間前
ツルモクかと思った
名無しさん
1時間前
就職に伴い自立するといっても、賃貸契約にかかる敷金・礼金・手数料だとか家財道具の購入なんかはなんだかんだ親が支援することが大半だと思うけど、昔と違って今の親世代はあまりお金に余裕がないのが現実。
もちろん今の若者自体、お金が無いコが多い。
独身寮って見直されるべき時代なのかもしれないね。
名無しさん
54分前
寮は生活費浮くし、色んなメリットあるけど、プライバシーなくなるから嫌だ
名無しさん
3時間前
女子寮も作ってください
名無しさん
3時間前
全寮制は良くないと思う。
名無しさん
1時間前
古臭いって感じるけど、一体感を増したりコミュニケーションを増やしたりするには1つの試験的な施策であるとは思う。
自分がこの会社の新人になりたいかと言われたら、それはイヤだけど。。
名無しさん
35分前
東京五輪の宿泊施設狙いだろう。短期間での儲け狙いは見え見え。
名無しさん
20分前
それ以前の問題では?1時間半もかかるなら寮のメリットないでしょ。
名無しさん
4時間前
都心の一等地にある企業は利便性があるのは分かるけど、そこの給料で近隣に住めるのはほんの一握り。
得に文京区とか新宿区、渋谷区みたいな東京の真ん中にあると、通勤に1時間かけても家賃は6万円以下はなかなか難しいからね。
寮を建てたり借り上げたり、住宅手当を出したりするのは難しいだろうけど、せめて交通費の全額支給はどの企業もやって欲しいね。
名無しさん
1時間前
安いのはいいが
常に会社の監視下なんでズル休みできないし
夜は、酔った連中がなだれ込むこともある
名無しさん
1時間前
私の子供は専門職だが、これくらいの大手企業なら、福利厚生の面から入社しても良かったかなと思う今日この頃笑
就活は大変というイメージを刷り込みすぎたかな笑
まあ何事も良い面悪い面有りますけどね。商社は給料いいけど転勤多いし、地元にいてくれるのは幸せかも。
名無しさん
25分前
独身寮って色々と監視されてますよね
それでも安く住めるのならいいのかな
名無しさん
1時間前
給料も良くて家賃も抑えられてこりゃたまるわ。
名無しさん
1時間前
ニーズに合わせて工夫しているところは良いと思う。福利厚生なんてなんでもいいからやっときゃいい。贅沢言うな、っていう有名無実な福利厚生の会社がなんと多いことか。
名無しさん
1時間前
文章が長げぇ。
名無しさん
1時間前
メリットばかり強調してるけど、デメリットもあるよね。家に帰っても会社の人間としか会わないっていうのはどうなのか?それに原則全員入寮っていうのも軍隊みたいだし。プライベートが全くない状況でも楽しめる人じゃないと無理だね。
名無しさん
1時間前
羨ましい。
名無しさん
1時間前
ツルモク独身寮のみゆきさんに憧れたなぁ。
名無しさん
1時間前
昔、三菱商事の独身寮で無理矢理、酒飲まされて死んだ新入社員いなかったっけ?
なんか商社の体育会気質の悪い面が復活しそう。
名無しさん
1時間前
生涯独身という人が増えている。
この寮が居心地が良ければ良いほとんど定年まで住みそう。
名無しさん
1時間前
今の時代レアだなぁ。現在は家賃負担が出る位よ。
名無しさん
1時間前
研究開発費と人件費は、景気がいいと投資扱いしてくれるけど、悪くなると一転して費用扱いされて、削減の対象になる。
この状況もいつまで続くことやら。
名無しさん
1時間前
社宅が遠すぎたから会社辞めたよ
名無しさん
1時間前
というか何この記事。三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅、双日も独身寮ちゃんとあるけど。
名無しさん
1時間前
女子寮はやはり無いのか。再しゅから、女性は眼中にない訳ね。こんな会社、働く前から女性の扱いが粗末だって、判ってしまう。就職するの辞めましょう。補助職しかさせてもらえない。けれど、男子寮しか無い会社って、あまりにも多すぎる。
名無しさん
1時間前
バブル時代は女性は自宅通勤者しか取らないとか堂々と標榜しているところもありましたが、そういう就職差別が「恐らくないはず」の今、女性社員の住居補助はどうなっているのでしょう。
男性同様立地のよい寮もしくは借り上げマンションがあるとか、男性と生活水準に差が生じないような仕組みは大企業ならあるだろうとは思いつつ、気になります。